trimm One インプレ
trimm One という GPS サイコンを半年ほど使用してみたので、そのインプレを。
購入動機
壊れてしまった Garmin Egde 510 の代わりに Bryton Rider 410 を購入 したは良いものの、アクティビティ同期スピードの遅さや、シームレスなスマホとの連携などがないなどの問題点に業を煮やし、新しいサイコンを探し始めた時に見つけたのが、この trimm One だった。
その時点で自分として譲れなかった機能としては、
- 自動でアクティビティがStravaなどにアップロードされること。
- 350-400km程度のライドでバッテリーが切れないこと。
の二点だった気がする。
その点で、スマホネイティブ、スピードセンサーと組み合わせれば最大50時間のバッテリー寿命を唄う trimm One はまさしく自分のためのサイコンのように感じられた。実際に利用してみるとこのサイコンの白眉はむしろそれらではなく、大画面で見やすいディスプレイによるターンバイターンのナビであったのではあるが。
製品概要
軽量、大画面
3.2インチ、200dpi の画面はナビとして使うにはとても優秀。
バッテリー寿命
まずは目を引くのがそのバッテリー寿命。
trimm Oneは、革新的かつスマートなバッテリー管理技術を利用して、スピードセンサーと連動後、位置追跡に消費される電力を最小限に抑えて 最大50時間 のバッテリー寿命を実現します。
ということで、なんと驚きの 最大50時間 、単品でも15時間のバッテリー寿命、これが本当ならば2,3日のツーリングなら充電なしで切り抜けられそう。さらにはこれは自分も買ってみたの利用中なのだが、ソーラー充電器と組み合わせることでほぼ無限のバッテリー寿命を誇るようだ。
専用ウェブアプリ「trimm Cycling Center」
最近追加された機能で、PCのブラウザからルートを作成しスマホと連動することができるようになった。(現在のところAndroid専用 2021/04: iPhoneでも利用可能です!)
ナビゲーション
スマホ、もしくは専用のウェブアプリ から作成したルートを利用してターンバイターンのナビゲーションが可能。ガーミンのようにルートを「デバイスに送信」などと言った一手間をかけることがなく、スマホから選んだルートをいきなりナビ開始できるのはさすがスマホネイティブなサイコンと言ったところ。出先で迷った際にスマホでルート作成してそのままナビゲーションに入れるのはとても快適。
GPX のルートインポート
ただ、現在の制限として、
GPXからのルートインポートは専用のウェブアプリを介さねばならないため、現時点ではiPhoneでは利用不可(2021/04: iPhoneでも利用可能です!))- GPXから読み込んだルートはターンバイターンのルート案内が無効になる
というのがある。
どちらもソフトウェアが未成熟からくる制限なため、将来的には解消されると思われるが、売れなければそのまま未実装でサポート終了するかもしれないと思うとちょっと怖い。
外部サービスのルート同期
その他のサイコンなどでは自動でStravaなどで作成したルートを同期してくれる機能などがあるが、trimm One ではできない。必ずPCの専用ウェブアプリにGPXをアップロードする、という手順が発生するのでそこは微妙に手間である。
ルーティング機能
Stravaなどの外部サイトで作成したルートが簡単に使えなくても、スマホやウェブのアプリで作ったルートが綺麗ならば問題ないのだが、どういうルート作成アルゴリズムを使っているのか知らないが、そこまで賢いようには見えない。
最近、Google Maps が対応した自転車専用のルート作成アルゴリズムのようなものを使ってくれれば良いのだが、サイクリングロードを余裕で回避するルート作りはフラストレーションが溜まるため、結局Stravaでルートを作ってtrimm Oneに手動でGPXをアップロードという流れになってしまう。
Ant機器とのペアリング
ケイデンスセンサーやパワーメーター、スピードセンサーと言ったAnt機器とペアリング可能。自分もパワーメーターおよびスピードセンサー、心拍計とペアリングして利用している。
マウント
Garminマウントをそのまま利用可能。
充電
USB Type C でもなく、そもそもUSBでも無い専用コネクタ。
バッテリは最大50時間保つとはいえ、二泊三日やそれ以上の予定でツーリングする場合、充電のためだけに専用のケーブルを持っていかなくてはならないのがだいぶ億劫。予備のケーブルを買おうとした場合、現状は海外からの購入になる点もマイナス。
Macbookの古のMagsafeのパクリみたいな磁石でくっつく形式のコネクタなのだが、PCで磁石形式にするのはわかるが、なぜサイコンでこの形式にしたのか…。
使ってみて
半年前にライドを再開して以来、ずっとルートナビゲーターとして利用している。今の所細かい不満はあるものの概ね満足していると言って良いだろう。
ほぼ、不満点はソフトウェアの使い勝手から来るものだが、実際のところこれが100点満点なサイコンはこの世の中に存在しない為、何かを犠牲にする必要がある。
自分の使い方
- GPSのログは今まで全ての元データを Garmin Connect にアップロードしている。
- Garmin のトレーニングステータスを Forerunner 935 に一元化したい。
という二つの理由により、GPSおよびアクティビティのログは全て Garmin Forrunner 935 で取っており、trimm One はロードバイクのナビゲーションとしてしか利用していない。
良くも悪くもスマホ依存
実際のところ、この trimm One というデバイスはナビとして使おうと思うと (ほぼ) 単なるスマホの外部ディスプレイみたいなもので、スタンドアローンでは各種ANTデバイスとの通信はできるもののナビゲーション機能は完全にシャットダウンされてしまう。
そう聞くと気になるのはスマホのバッテリーの消耗度合いだが、これは少なくとも自分が 100-200km のライドをしているかぎりにおいては通常のスマホ利用時と同じ程度の消耗しかなく、特に問題と感じなかった。ただ、なんらかの別のプロセスの暴走によりスマホのバッテリーが異常に消費されなくなってしまい、trimm One のナビゲーションもできなくなってしまったことが一度だけあった。あれが近くにコンビニも無いような山奥や田舎で起きていたら完全に詰んでいたので気をつけた方が良さそうだ。(それ以来モバイルバッテリーを持ち歩くようにしている。)
また、このデバイスは単なるスマホの外部ディスプレイなので、親機となるスマホ、iPhoneやAndroidにインストールされたアプリがその機能のほとんどを担うわけなのだが、これが韓国製ということもあってかどうやらAndroidとiPhoneで機能差がある。なんとなくだが Android で新機能が実装されたのちに iPhone に移植されるという流れのようだ。そのうちの 「GPX ファイルを外部で作成してルートとして取り込む」というどうしても欲しい機能が Android にしか実装されていなく、泣く泣く Google Pixel 4a を買った。今から思えば Wahoo Element Roam を買っていれば全て問題なかったのでは無いか、という気がしないでもない。
まとめ
- ナビとして使うならばその大画面もあってとても優秀。将来的には GPX ファイル取り込みのルートもターンバイターンのナビゲーションをサポートしてもらいたい。
- ベゼルも小さく、他のサイコンと比べてデザインが良いので所有欲が満たされる。
- スマホの別ディスプレイと割り切れば、ほぼ不満点はソフトウェアの機能が少ないその一点であるので、成長性は見込めるので買って損はしないかもしれない。
- そもそも、ナビ付きのサイコンとしては安い。
良い点、悪い点をまとめると、
Pros
- 大画面、ルートが見やすい
- スマホで作ったルートをすぐにナビ開始できてシームレス
- バッテリ寿命が長い
- 軽い
- Garminのマウントを利用可能
- かっこいい
- 安い
Cons
- 外部サイトで作ったルートの取り込みがPCがないとできない
- ルート作成機能が若干頭悪い (Strava と比べると)
- スマホが無いと何もできなくなる
- GPX取り込みで作成したルートはターンバイターンでナビゲーションできない
- 専用充電ケーブルとコネクタ
と言った感じ。
良い点が多いような気がするけど、、多分、今 GPS のナビつきサイコン、どれを選ぶ?って聞かれたら Wahoo Element Roam を選ぶと思う。将来性に期待。
2021-04-27 追記
上記の結論から、Wahoo Element Bolt (Roamではない) を買って試してみたのだが、trimm One のディスプレイの広さと画面の見やすさは Wahoo Element Boltと比べると段違いに良い。Wahooを使ったとしてもどちらにしろGPX取り込みで作成したルートはターンバイターンでナビゲーションできないため結局のところナビの見易さを見るか、汎用の充電ケーブルを取るかという二択になってしまった。
ということで現時点では未だ trimm Oneをメインのナビゲーションとして利用している。値段も安い trimm One LITE も出たため(2万円とちょっとでGPSナビ付きは安い!!)皆が使い、ソフトウェアが改善していくことを望む。