やっぱり「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」んじゃないの?
政治とかにあまり興味ないのですが、最近ビックコミックスピリッツでやってる、DAWNとかいうマンガを読んで、日本は本当にアメリカに食い物にされているんじゃないのかとか思ったりして、郵政民営化に興味を持っています。
というのも、郵政民営化によって「簡保、郵貯」が持っている350兆円と言うお金がアメリカに奪い取られてしまうんじゃないのかという噂のせいです。
そこで色々調べてみたんですけど、これについてあまり深く突っ込んだ議論をしているサイトは少なくて、この「アメリカに350兆円を奪い取られる」という主張をしているサイトを見ても、その根拠というか、具体的にどのような手段で奪い取られるのか書いていないため、「アメリカに350兆円を奪い取られる」と言う噂は怪しいなとか思い始めていました。
そんな折、「「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」というデマ」というエントリを見つけて、やっぱり「簡保、郵貯」の350兆円はアメリカに奪い取られるんだろうなと確信しました。
「民営化すると国民の350兆円がアメリカに奪い取られてしまう」
これ嘘っ八。
「奪い取られる」という語感が恐怖心を煽るけど、不可能。そもそも「奪い取る」って何?って感じ。郵貯に預けた預金がアメリカのものになって預金者の手元に戻ってこないなんて事があるわけないだろ。
たしかに、郵貯に預けた350兆円がそのままアメリカの持ち物になってしまうと言うことはないだろう。
けどこのエントリではちょうど郵政民営化の基本方針を引用してて、ここを引用しててなんで気づかないんだろう?350兆円がアメリカに良い様に使われると言うことが。
- 最終的な民営化時点における組織形態の枠組み
- 公社承継法人
- 郵貯と簡保の旧契約とそれに見合う資産勘定(以下、「公社勘定」 と言う。)を保有する法人を、郵政公社を承継する法人として設立する 。
- 公社勘定の資産・負債の管理・運用は、郵便貯金会社及び郵便保険 会社に委託する。
- 最終的な民営化時点における各事業会社等のあ り方
- 公社承継法人
- 業務の内容
- 郵貯・簡保の既契約を引継ぎ、既契約を履行する。
- 郵貯・簡保の既契約に係る資産の運用は、それぞれ郵便貯金会社及 び郵便保険会社に行わせる。
- 公社勘定の運用
- 公社勘定に関する実際の業務は郵便貯金会社及び郵便保険会社に委 託し、それぞれ新契約分と一括して運用する。
- 公社勘定の運用に際しては、安全性を重視する。
- 公社勘定については、政府保証、その他の特典を維持する。
- 公社勘定から生じた損益は、新会社に帰属させる。
つまり
郵貯と保険の旧契約は(郵政公社の期間に集めた郵貯・保険の約340兆円 は)、政府保証を付けたまま公社継承法人に引き継ぐ。運用は郵貯・保 険の新会社が行うが、公社勘定の運用から生じた損益は新会社に帰属さ せる。
運用から得られた利益はどうなるの??という疑問は当然沸く。
このエントリでは、「それどころか、デタラメな運用によって生じた損は新会社に帰属するので、新会社を買収した外資は自分で自分の首を締める事になる。こんな自殺行為誰もやらない。逆にちゃんと運用して利益を出して税金を納めてくれるなら日本にとっても全くマイナスじゃない。
」と言っている。
つまり郵貯を買い取った外資の企業が郵貯のお金を運用して利益をあげることは認めているんですね??
ここがおかしいんじゃないかと。
郵政が民営化して一番良いシナリオは、郵貯のお金が特殊法人にだけ垂れ流されるのではなく、日本の企業のベンチャーや中小企業の投資に使われて経済が盛たつことだ。日本人の貯蓄を日本人のために使って日本国の経済がよくなることはすばらしいことこの上ない。
が、しかし、もしも外資の投資会社が、この郵貯のお金を自由に運用できる立場にあったらどうするか?
誰が日本の企業に投資する?
私だったら東南アジアや中国、インドといったこれから確実に勝っていくだろう上昇株に投資する。
そして外資の投資会社の儲かったお金はアメリカに行く。
日本に残るのは?
自分で運用できない350兆円というお金だけ。
確かに350兆円は奪われないだろうけど、それで得られたかもしれないものが全て他の国のものになってしまって良いのか。
たとえ郵貯のお金を使って投資できる投資先が日本の企業に限定されていたのだとしても、結局は一緒だ。投資されるということは、投資された企業の利益は投資会社の物になってしまう。
いくら企業ががんばっても結局儲かるのは投資した人たち。
これで本当にいいのだろうか。
「「郵政民営化で350兆円が米国に奪い取られる」というデマ」を読んで納得しちゃった人はもう少し考えた方が良いんじゃないだろうか。