: O. Yuanying

沖縄一周

それはもう、用意周到な旅であった。

メンバーとして加わったプロジェクトにおいて、 沖縄への出張がたびたび発生することが判明した時点で自転車で沖縄一周を行うということは自分の中で決定していた。 あとはいつそれを行うかであったが。

綿密な打ち合わせの上、プロジェクトの配属されたグループリーダーから週末も沖縄に滞在することが可能な二週間連続の出張を勝ち取り、 (というか二週連続で良いのにどういうわけか5週連続になってしまったが…。) その決行日を 11/23-24 と決めた。

想定外が二点あった。

  1. 一週間前に風邪を引いた
  2. どうせとれるだろうと思っていた宿が満室であった

確かに、前日まで、いや、決行の当日まで風邪が治らず完調ではなかったのは、 連日連夜の飲み会のせいにするでもなかろう。飲み会が無かった日でも一人で居酒屋に入って酔いつぶれたのも仕方なかろう。 出る必要も無い二次会でグダグダと午前1時まで飲んでたのも風邪が治らなかった理由にはなるまい。 急な気候の変化は風邪をこじらせるものである。寒い東京で風邪を引き、沖縄で気温変化により長引いたのは不可避であった。

また、11月下旬の沖縄の宿が満杯など、誰が思おうか。こちらはダラダラと言い訳を書くまでもあるまい、 どちらにしろさらに奥地で宿が取れたのだから。

2013-11-23

これまでにも何回か、自転車による旅行について日記を書いてきたが、もう飽きた。 日本はどこの田舎を走ろうにも同じである。国道沿いは四国も本州も、九州も沖縄もコピーアンドペーストである。

結局はコンビニで補給となるのだ。

コンビニがなかなか無いような奥地であっても最低 10km 走れば必ず誰が補充しているのか分からぬ自販機が置いてある。 補給や水分不足を心配して、リュックにパンやらおにぎりやら、ペットボトルを予備に背負うのは無駄である。 単なる重りである。

とりあえず今回の旅行では心配しすぎてリュックが重かった。

目的地は、沖縄の奥である。奥まで 112km。

北上するに従って、

海の水がきれいになっていった。

きれいにしたがっていくにつれて、どういう訳か自分の心はだんだんと鬱になっていった、 一体なんなのであろう。

気づいたら北国であった。

体調のせいかわからぬが、ひどくむなしかった。なんで自転車を漕いでいるのかさっぱりわからぬ。 「人生について」などといった普段はひとかけらも考えぬような妄想を頭にいだきはじめたころ、 宿に着いた。

一昔前までは、小学校兼中学校であった施設が、今ではデイサービス兼宿泊施設となっていた。

ひと風呂あびて体はさっぱりしたものの、どういう訳か心は晴れぬ。 着いたのは 14 時前。そして恐ろしいことにソフトバンク圏外であった。

あるのは、砂浜と海だけ。18時半の夕飯まで、海辺で。

人生のことについてなど考えてもツマラヌので黒髪の乙女のことなどを考えていた。

2013-11-24

朝食は入所している老人方とともに。宿泊しているのは自分一人のようであった。

前日は国道58号線沿いに来たため、ほぼアップダウンの無い旅程であったが、 帰りは東側の航路。

58号沿いも人気は少なかったが、さらに無く。アップダウンはうんとこしょとあった。

県道329号、330号といった市街地に出てからの道路も、意味も無く坂を登らせやがる。 ホトホト嫌になり、もう二度と東側は走るまいぞと。

毎回自転車でどこかに行くたびに思うのだが、自分の旅行は旅路を急ぎすぎる。 もう少し、名所や美味しい所に立寄り、先人を思い、舌鼓をうちたいものである。